- マイグレーション&モダナイゼーション事業
ダイニチ工業、社内システムのクラウド移行をシステムズがサポート:老朽化と属人化の課題を一掃し、次世代に向けた開発基盤を確立
- 製造
ダイニチ工業株式会社
業種
一暖房機器(石油暖房機器、電気暖房機器、ガス暖房機器)、環境機器(加湿器、空気清浄機、燃料電池ユニット)、
その他(部品、コーヒー機器 他)の製造販売


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概要
ダイニチ工業株式会社は、石油ファンヒーター等の生活家電を製造・販売するメーカーです。新潟に根差したモノづくりで高品質な製品を届けています。長年、基幹システムを自社開発してきましたが、老朽化にともない、データベースのサポート期限の到来や属人化など、安定稼働に向けた課題に直面していました。
そこでクラウド移行を機にシステムズをパートナーとして迎え、Visual Basic 5.0(以下、VB5.0)で構築した大規模システムをVB.NET環境へ移行するプロジェクトの実施を決断します。システムズのサポートを受けながら約10か月で移行を完了させ、業務効率化やITガバナンス強化など、次世代のDXへ踏み出すための強固な基盤を築き上げました。 -
課題
- データベース接続に関するサポート終了が迫り、運用の継続が困難になった
- システムの属人化により、適切に引き継ぎやノウハウ共有ができていなかった
- 手作業によるリリース管理と上長承認プロセスについて、システム面での改善が必要だった
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効果
- 受注データの取り込み処理時間が半減し、現場オペレーターの待ち時間が減少
- クラウド環境で自動配信機能を導入したことで、上長承認を経て確実にリリースできる体制が実現
- テスト仕様書作成を分担することで知見の共有が進み、古い開発環境から完全に脱却できた
事例・実績インタビュー
参加者
- 管理本部 システム開発部 部長 石井 幸光 様
- 管理本部 システム開発部 システム開発課 課長 須田 和彦 様
- 管理本部 システム開発部 システム開発課 主任 西脇 大輔 様
- 管理本部 システム開発部 システム開発課 主任 広瀬 均 様
- 管理本部 システム開発部 シニアアドバイザー 菅野 滋 様
- 管理本部 システム開発部 システム開発課 主幹 堀 裕子 様

| 社名 | ダイニチ工業株式会社 |
|---|---|
| 事業内容 | 一暖房機器(石油暖房機器、電気暖房機器、ガス暖房機器)、環境機器(加湿器、空気清浄機、燃料電池ユニット)、その他(部品、コーヒー機器 他)の製造販売 |
| 従業員数 | 474名(2026年4月1日現在) |
| URL |
ダイニチ工業の歴史について教えてください。

石井様は、ダイニチ工業の歴史について次のように語ります。
石井様:当社は1964年に創立され、気化燃焼と送風技術を強みに石油燃焼機事業を展開してきました。1980年代初頭にファンヒーターの開発を行い、現在に至ります。灯油を気化して青い炎で完全燃焼させ、静かに燃やす「ブルーヒーター」は当社の発展の礎であり、基幹事業です。
2000年代にはエアコンの普及による住宅事情の変化に合わせ、加湿器という第2の柱を立ち上げ、現在は大きな事業に育っています。さらに安定した経営を目指し、通年商材となる空気清浄機やコーヒー機器、生ごみ乾燥機などの開発・販売を展開しています。一貫してコア技術を水平展開する形で、事業を広げてきた歴史があります。
従来のVB5.0で構築されたシステムはどのような業務で使用していましたか。

石井様:もともとは「メインフレーム」と呼ばれる大型のホストコンピューターですべてのシステムを構築し、4〜5人ほどで運用していました。その後、パソコンの普及とともに手軽にシステムを構築できるVBツールが登場。古い大型コンピューターと連携させながら徐々に機能を切り出し、自社内での開発を進め、2000年代に数多くのシステムを構築しました。
給与計算など自社でこだわる必要のない部分はパッケージ製品に頼り、それ以外の販売管理の受発注や生産管理といったコア業務は、すべてVBシステムで独自開発してきました。メインフレームが完全に廃止された2017年頃にはVBシステム自体も古くなっていたため、次はVB.NET系の環境で開発しようと構想をスタートし、本格的な切り替えを進めました。
移行前に抱えていた、システムの課題は何でしたか。
石井様:古いVBから基幹データベースへの接続部分において、将来対応できなくなるリスクが見えてきたのです。サポート終了が告知されたため古いバージョンを固定して動かしていましたが、先行きを考えると非常に危うい状態でした。また、直販Webサイトなどの比率が上がり商流が変わっているのに、受発注の仕組みが古い構造のままだったため、システムが事業の足を引っ張っているような感覚がありました。
さらに、運用面における最大の課題は属人化です。特定の担当者は決まっていたものの、チーム制にはなっておらず、仕様が整理・更新されていない状態でした。引き継ぎやノウハウの共有もできていない点が大きな課題でした。
システムズをパートナーに選んだ理由を教えてください。

石井様:検討段階では、VB5.0をそのままVB.NETへ移行する方法のほかに、Webシステム化したいという強い思いがありました。そこで、パートナー企業から話をうかがったり、システムズにWeb系への移行について相談したりして、比較検討を行いました。
その際、ネックになったのは費用面と期間です。最短かつ確実にやり遂げるのであれば、これまでに培ってきた資産やノウハウをそのまま活かし、VB.NETへマイグレーションする、つまり仕様をそのまま引き継ぐ選択が良いという結論に至り、システムズにご支援をお願いすることにしました。
システムズを選んでいただいた決め手は何でしたか。
石井様:システムズの過去の事例を拝見した際、実績がオープンに開示されていて安心感があったからです。実は2008年頃にも「メインフレーム」廃止を検討したのですが、予算が合わず断念せざるを得ませんでした。そこで社内の工数を使って約9年かけて2017年に完全移行を完了させましたが、既存業務と並行しながら進めるのは非常に厳しい道のりでした。
その後、クラウド移行へ舵を切ったのですが、データベースの制約がネックとなり、八方塞がりの状態になってしまったのです。クラウド上では規定に沿って対応しなければならず、バージョンを永久に固定することはできません。自社だけで切り替えるリソースはないと考え、システムズにお願いすることを決めました。
移行の際に苦労した点や印象深いエピソードがあれば教えてください。

西脇様:最初の段階でテスト用環境を提供するために、既存システムがどのテーブルやビューを使っているのかを調査して洗い出す作業が大変でした。当社のシステムはさまざまな人が開発に関わってきたため、コードの書き方がバラバラで、一括変換の作業に入った際に多様なコードが次々と検出されたのです。
また、バーコードリーダーなどの実機と連動するシステムでは、私たちが実機をつなげてテストを行う必要がありました。システムズと細かなやりとりを重ねながら納品されたテスト結果は、私たちが社内で行うレベルを遥かに超えて細部まで行き届いた検証が行われており、大変驚きました。
広瀬様:私たちがテストシナリオを作成したとき、一般的には使われない当社独自の社内用語が含まれていたのですが、システムズはその意味を深く早く理解してくださったんです。当社の言葉のままで伝えても完璧に理解してくれたのがすごいなと感動しました。

新システムを導入した効果はどうでしたか。

広瀬様:目に見える効果として分かりやすかったのが、受注業務です。各量販店から受信した受注データを基幹システムへ取り込むバッチ処理において、これまでは約8,000件を取り込むのに約40分かかっていましたが、新しい環境では約半分の20分に短縮されました。現場の待ち時間を半分にできたのは大きいです。
石井様:数字には表れにくい効果として、IT全般統制の面でも大きなメリットがありました。
今回新しい環境へ移行したことで、クラウド上で管理しているプログラムソースから自動でビルドして、本番環境に反映させるパイプライン(自動配信機能)が構築できるようになりました。これにより開発と運用を分離でき強固な仕組みが確立できました。
初めての共同開発プロジェクトを終えた感想をお聞かせください。

堀様:今回のプロジェクトでは、途中でコスト調整のために、本来システムズにお願いする作業の一部を当社の社内メンバーで引き受ける形にさせていただきました。これによりメンバーの負担が増えてしまうのではないかと懸念していたのですが、実際にはシステムズが裏で手厚くフォローをしてくれたおかげで、思ったほど当社の負担は増えずに済みました。最初から最後まで安心して信頼してお任せすることができたと思います。
石井様:外部の力を借りてアウトソーシングで開発を行うアプローチ自体が、今回初めての挑戦でした。結果としてプロジェクトをやり遂げたことで、全メンバーにとって大きな成功体験となり、視座の向上やスキルアップにつながったと感じています。これから先、社内で新しいシステム開発や上流工程へのシフトを行っていくにあたっても、今回の経験は糧となるはずです。
今後の課題や展望についてお聞かせください。
石井様:一番重要なのはシステムの継続性だと思います。数年〜十数年が経てば、また第2、第3の移行が必要になる時代がやってくるはずです。そのときに、今回進めた属人化の排除や、統一された開発基盤が維持されていなければ、次の世代の若手メンバーに引き継ぐことができません。
将来のメンバーまで継続して安定運用・開発を行っていける体制を維持することが大きな目標であり、その具体的な手段として、今後は生成AIの活用にも注力したいと考えています。まずは、AIを道具として上手く活用し、定型業務の効率化を進めていきたいと思います。そして、生み出された時間を、企画や要件定義といった私たちがこれから重要視する上流工程に充てられるような体制を構築して行きたいです。
システムズとも今回の取り組みを通じて良い関係を築くことができましたので、今後新たな分野に取り組む際にも、力をお借りしながら進めていきたいと思っています。





